天下一武道会に闇のゲーム、リング。漫画に学ぶ“新スポーツ”の発明法。

引用元:Number Web
天下一武道会に闇のゲーム、リング。漫画に学ぶ“新スポーツ”の発明法。

 スポーツの語源は、「気晴らし」や「遊ぶ」などを意味するラテン語「deportare」が変化した言葉だという。

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 そこから身体活動をともなう屋外の運動を意味するようになり、さらに時が経つにつれ、野球やサッカー、バスケットボールのような一定のルールを持つオリジナル競技を指すようになった。

 今ではスポーツというと「ルールの固まった競技」というイメージが強いが、鬼ごっこやかくれんぼのように公園で友だちと遊ぶことも、旧来からあった遊び、ひいてはスポーツだと言えるだろう。現代ではテレビゲームをスポーツ競技として捉えた「eスポーツ」も「新しいスポーツ」として注目が集まっている。

 そもそもスポーツのルールは誰かが「こうすると面白いゲームになるのでは」と考えて作ったものである。ならば、より面白くなるように変えたっていいはずだ。なんなら、イチから作ったってOKである。

 今回は、まさにそうしてスポーツを“発明”したマンガをご紹介したい。『世紀末リーダー伝たけし! 』や『トリコ』で知られる人気漫画家・島袋光年先生が『トリコ』の前に「スーパージャンプ」で連載した、創作輪投げ競技を題材にした秀作『RING』だ。

王道の展開、でも競技は創作。

『RING』は、架空の競技「リング」を題材としたスポーツ漫画だ。陸上推薦で高校に入学した主人公・花形夏(通称:サマー)は、入学初日に夢で見た女の子・佐織あすかに一目惚れする。彼女は1つ上の先輩で、「輪(リング)部」のマネージャーであった。

「リング」初心者のサマーだったが、入学してすぐ、佐織あすかの弟・洋介とリングで勝負することに。そこでサマーは50メートル離れた場所から見事「ビクトリーシュート」を決め、学校から一目置かれる存在になる。その後、サマーは「輪部」に入部し、先輩たちとトラブルを起こしながらも、だんだんとリングにのめり込んでいく。

 あらすじとしては、女の子に惚れ、かっこいいライバルキャラが登場し、面倒見のいい先輩がいて……という清々しいほどの王道スポーツ漫画だ。さらにそこに島袋先生らしい激しい喜怒哀楽が加わる。近年はリアリティー路線のスポーツ漫画が多いので、今読むとこの熱量の高い作風を新鮮に感じる人も多いだろう。次ページは:徹底的に作りこまれた架空のルール。

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