バドミントン山口茜が東京五輪へ 重圧、世界1位から転落…支えた1枚の色紙

バドミントン山口茜が東京五輪へ 重圧、世界1位から転落…支えた1枚の色紙

 バドミントンの全英オープン第2日は12日、英国のバーミンガムで各種目の2回戦が行われ、女子シングルスで世界ランキング3位の山口茜(再春館製薬所)が、同4位の奥原希望(太陽ホールディングス)とともに東京五輪出場を確実にした。ともに2大会連続出場となる。

【写真】バドミントン女子の山口

 初出場した2016年リオデジャネイロ五輪から4年。山口にとって葛藤とも戦った末の2度目の五輪切符だった。

 3歳からラケットを握り、福井・勝山高を卒業するまでバドミントンは趣味の要素が強く「全力で戦って楽しければ負けても仕方ないと思っていた」。高卒1年目で臨んだリオ五輪も準々決勝で奥原に敗れて涙を流したが、悔いはなかった。

 しかし翌17年2月。再春館製薬所の優勝を決めた日本ユニシスとのS/Jリーグ最終戦で初めて重圧を感じた。「会社を背負っているので負けられない。ミスを恐れた」と高橋沙に惜敗。18年4月に日本女子で初めてシングルスの世界ランキング1位になると受け身の気持ちも芽生え、一時は同6位まで落ちた。

 「勝利が求められる立場。その上でも楽しむメンタルを求めたい」。出した答えは「挑戦」。小中学生時代に師事した勝山南部ジュニア(福井)のコーチから高校卒業時に贈られた色紙に記された言葉で、熊本市内の自室に飾っている。

 「昔はいつも何かに向かって挑戦していた。精いっぱい戦えば、見ているみんなも分かってくれる」。初心に帰り、球際の粘り強さや相手の意表を突くプレーが戻った。現在は世界ランキング3位。代表を争った“因縁”の高橋沙を破って引き寄せた晴れの舞台を見据え「自分が楽しみ、納得して終わりたい」。自国開催の重圧もはねのけるはずだ。(五輪担当・末継智章) 西日本スポーツ