引用元:Number Web
仕事柄、いろいろな競技のユニフォームを目にする。そしてスポーツアパレル各社からテクノロジーの進歩によって数多くの改良が図られているなどのリリースをいただく。
【秘蔵写真】名選手のヤンチャそうな高校球児時代。森友哉や吉田輝星に清原、超細い松坂&浅村、かわいい由伸にヘンテコ帽子の井口…。
その中で、いつも思うことがある。
野球のユニフォーム……動きづらそうじゃない?
少年野球をちょっとかじった後、サッカーやバスケなど色んなスポーツを経験した身であると、インナーシャツを着てのベースボールシャツ、でもってベルト付きの長ズボンにストッキング。他競技に比べて格段に“厚着”で、ただただ動きづらかった印象なのである。
そんな疑問をずっと持っていたんだから、作ってる人に聞いてみるか……。電話してみたら、話を聞かせてくれるという。新幹線で向かう先は大阪、ミズノ株式会社の本社。「野球のユニフォームはホントにあれがベストの形なのか。20年前はゴワゴワだったが今は進化しているのか、問いたい!」と勇んで行ってみた。開発担当者も厚着には疑問?「実際そうですもんね。それが野球を定期的にプレーしたことのない皆さんから見た、素直な感想というかね、そう思いますよ。なんで何枚も重ねて着るんだろう、とか(笑)」
取材に応じてくれた野球アパレルの担当者・松井克徳さんが意外にもあっさりと認めつつ、厚着にも疑問を持っていたようで、こちらが驚いてしまった。
実は松井さん、高校時代は甲子園に出場するなど、白球を追っていた元球児だ。今も野球の現場に足を運び、時間があれば自らユニフォームの機能性をチェックするため、草野球に励むというプレーヤー&開発者の鑑のような人である。
日焼けした笑顔とたくましい肉体、威圧感あるな……との第一印象だったが、松井さんは想像できない柔らかな物腰でユニフォームの変遷について説明してくれた。昔はダボっと、今はピタッと。「弊社と野球の歴史から説明すると、ボールを作り始めたのが1913年なので、100年以上の歴史があります。ユニフォームについても日本で最も早く作り始めました。その当時は帆布、いわゆる織物のユニホームなので、ほぼ伸びのない生地なんですね。
ただプレー中に高いパフォーマンスを発揮したい、という選手の要望を聞きながら改良して、軽さを求めたメッシュ性、ストレッチの利いた伸縮性のよいものを21世紀に入ってから提供するようになりました。『プレーする時の動きやすさ』という定義は時代によって変わるんですが、それに伴ってシルエットなども変化しているんです」
説明しながら、各年代のユニフォームを並べてくれた。なるほど、昔のユニフォームは生地が伸びない分だけダボっとしたつくりになっている。一方で今は身体にピタッとフィットしたタイプが増えている。
「カッティングのパターンもバリエーションが増えたことで、身体を締め付けた方がパフォーマンスが上がる、余分なゆとりがない方が動きやすいなど、開発技術の進化によって形は変わってきました」(松井さん)