アスリート、練習場所に苦慮 NTCとJISS再開延期見通し

引用元:産経新聞

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う政府の緊急事態宣言の延長を受け、6日までの使用中止となっていた味の素ナショナルトレーニングセンター(NTC)と国立スポーツ科学センター(JISS)の再開も延長される見通しであることが4日、関係者への取材で分かった。両施設は4月8日に閉鎖。拠点としてきた競泳やバドミントン、卓球、バレーボールなどアスリートの多くが行き場を失っており、関係者は段階的な再開の道を模索する。

 JISSのプールが使用不可となった競泳では、所属先で練習を続けるチームがいる一方、水中練習が全くできなくなった選手もいる。男子のエース瀬戸大也(ANA)もその一人。4月22日に更新したインスタグラムでは“苦肉の策”として、自宅の庭に大人1人が入れる程度の簡易プールを設置した様子を公開。腰に巻いたチューブをプールの外に固定して泳いだ。「水をキャッチする感覚や泳がないと動かない細かい関節や筋肉があるんです。だから泳がないと」と切実な思いを記した。関係者は「練習ができない時間がさらに延びるとなると、今後は対応を考えないといけない」と打ち明ける。

 NTCでの合宿など代表活動が年間250日にも及ぶバドミントンは現在、代表チームが解散。多くの選手は自宅トレーニングを余儀なくされている。2016年リオデジャネイロ五輪バドミントン女子ダブルス金の高橋礼華、松友美佐紀組ら多くの代表選手を抱える日本ユニシスも、拠点とする東京都内の体育館の閉鎖により全体練習ができない。実戦的な練習再開は見通せず、チーム担当者は「覚悟はしていたが、やれることをやるしかない」と頭を抱えた。

 NTC関係者は「NTCをクラスターの場にはできない」としながらも「3密を避けた上で段階的にでも開所していく方法を模索できれば」と話している。