山口茜、17歳次世代スター候補・郡司莉子に苦戦「お手本であり続けたい」 相手は脱帽

引用元:THE ANSWER
山口茜、17歳次世代スター候補・郡司莉子に苦戦「お手本であり続けたい」 相手は脱帽

 第73回全日本総合バドミントン選手権大会は、28日に各種目の3回戦を行い、3連覇を狙う女子シングルス世界ランク4位の山口茜(再春館製薬所)は、2-1(20-22、21-18、21-15)で世界ジュニア選手権女王の郡司莉子(八代白百合学園高)を破り、準々決勝進出を決めた。山口は「1本目のラリーでゆっくりし過ぎて、相手のスピードに合わせてしまい、相手がエースショットを打ちやすい場面が多くなってしまった。(1ゲーム目を)取られたけど、焦りは、特になかった。2ゲーム目から少しスピードを上げて、ファイナルゲームは出だしで積極的にいけた」と落ち着いた表情で話したが、高校2年生に1ゲーム目を奪われる思わぬ展開となり、ファンは肝を冷やした。

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 しかし、格の違いは明らかだった。何よりも力量差を痛感したのは、ネットを挟んで対峙した郡司だ。郡司は、憧れの選手に山口の名を挙げる高校2年生。今季は、夏にインターハイ(全国高校総体)を制し、10月には、かつて山口も制した世界ジュニア選手権で初優勝を飾った。

 現在、世界ランク3位の奥原希望(太陽ホールディングス)や山口がけん引している女子シングルスの次世代スター候補だ。山口も「相手は、上からのショットは、球が速くて強い。打ち分けというか、ストレート、クロスの両方がある分、張り辛い部分もある」と光る物を認める逸材だ。郡司は、第1ゲームこそ、憧れの選手との対戦であることや、大人の観衆が多い会場の雰囲気にのまれて緊張したというが、次第にエネルギッシュなスマッシュやクリアといった持ち味を発揮。得点を重ねていった。 山口茜、17歳次世代スター候補・郡司莉子に苦戦「お手本であり続けたい」 相手は脱帽 山口と接戦を演じた郡司莉子【写真:平野貴也】

17歳の次世代スター候補は脱帽「最初は決まっていた球が、通用しなかった」
 ただし、ゲームの主導権を握れているわけではなかった。郡司は「相手のミスで点を取っていることは分かっていた」と振り返る。はじめは、山口のショットに驚くような表情を見せたり、ミスを悔しがったりと試合を楽しむ明るい表情を見せていたが、第2ゲームの中盤以降は、明らかに困惑。ラリーで振り回されるようになり、みるみるうちに疲弊していった。ファイナルゲームでは、なす術なし。力の差を思い知らされた。

 郡司は「最初は決まっていた球が、2、3回打つと(予測されて)張られていて、通用しなかった。ジュニア世代では少し別の球を打ってから打てば決まるけど、対応力が違って、途中から何を打てば良いか分からなくなった。スピードを上げたけど、相手も上げてきているから、逆にこっちの動きを見て、スピードを上げようとする動きの逆を突かれる」と脱帽するしかなかった。

 まだまだ、次世代に追いつかれるわけにはいかない。山口もまだ22歳と若い。2020年東京五輪のメダル候補でもある。夏以降はコンディションが万全ではない印象だが、1年間の通算成績上位8名が出場するBWFワールドツアーファイナルズ(12月、中国・広州)への出場も決まっており、世界トップの舞台で戦い続けなければならない。山口は「自分は憧れとかがなかったので(相手が自分に憧れていると聞かされても)よく分からないけど、お手本であり続けられるようなプレーは、していかないといけないと思う」と話した。後進の目標となりつつ、世界の舞台へ弾みをつけるため、全日本3連覇を目指す。 平野 貴也 / Takaya Hirano