悲願だった日本一に涙 バド世界女王の「ナガマツ」

悲願だった日本一に涙 バド世界女王の「ナガマツ」

(1日、バドミントン・全日本総合選手権女子ダブルス)

 世界選手権を2連覇している王者なのに、女子ダブルスの永原、松本組には足りないものがあった。全日本総合のタイトルだ。

 「気持ちがのった特別な大会」と松本。初の決勝では気持ちが先走り、空回りする。ミスが続いて腰が引け、「ただ球を返すだけになってしまった」と永原。第1ゲームは10―21であっさり落とした。

 第2ゲームが始まる前、観客席を見上げ、永原は思った。「これだけのお客さん。面白い試合をしなければ申し訳ない」。受け身一辺倒の姿勢から、積極的に前へ出るよう切り替えた。持ち前のパワーで押し切るスタイルで、後半になるにつれてスマッシュのスピードが上がった。第2ゲームを21―15で取り返すと、最終ゲームは11連続得点などで21―8と圧倒した。

 永原、松本組の「ナガマツ」ペアは、東京五輪の代表を巡るポイントレースの真っ最中。2つの代表枠を福島、広田組の「フクヒロ」、リオデジャネイロ五輪金メダルの高橋、松友組の「タカマツ」とともに争っている。今大会は五輪選考の対象大会ではないが、ライバル2ペアを破っての頂点。「やっと優勝に手が届いた」と松本が涙を流せば、永原は「これまでは他のペアに引っ張ってもらう立場だった。ここからはお互い高め合える関係になりたい」。念願のタイトルとともに、自信を手にした。(清水寿之) 朝日新聞社