空手王者による『ラジオ体操』のススメ “コロナ禍”をみんなで乗り越えよう【山崎照朝コラム】

引用元:中日スポーツ
空手王者による『ラジオ体操』のススメ “コロナ禍”をみんなで乗り越えよう【山崎照朝コラム】

 先日、わが家の近くでこんなことがあった。休校のため、子どもたちが家の前でバドミントンを始めたところ近所のおじさんに「道路で遊ぶな、公園でやれ!」と怒鳴られてションボリ。しかしその公園だって閉鎖されているところが多く、子どもたちは行き場を失ってしまっている。これではストレスはたまるばかりだ。

 まだまだ終息が不透明の新型コロナウイルスに世界が悲鳴をあげている中、ふと幼少期を思った。私は終戦間もない1947(昭和22)年に生まれた。ベビーブーム世代である。夏休みになると早朝、校庭や近くの広場などに集まってNHKのラジオ体操に参加した。♪新しい朝が来た~の歌を聞き、体を動かすうちに眠気が吹っ飛び、最後は出席カードにはんこを押してもらって帰ったものである。

 テレビの時代になり、今では「みんなの体操」さらには「みんなで筋肉体操」は話題になるが、ラジオ体操の習慣は徐々にすたれ、最近は広場や学校の校庭で見かけることはなくなった。

 NHKによるとラジオ体操は1928年に始まったそうだ。放送開始は11月1日。戦前、戦後を通し、小学校や工場、職場で体力の向上や健康保持を目的に行われてきた。そこでたまるストレス解消の一助に推薦したいのがラジオ体操である。“三密”を気にすることなくひとりでもできる。ラジオ体操には第1、第2、第3がある。バラエティー番組などでたまに取り上げられる第3はなじみがなく、一般的には第1と第2が行われてきた。

 私は約50年間、ボランティアで空手を教えているが、腕立て伏せや尻を床運動につけての柔軟体操を除けば、準備運動の半分をこのラジオ体操にあてている。子どもの頃から体に染み込んでいることもあるが、何より理にかなっているからである。

 (1)伸ばす(2)曲げる(3)回す(4)ねじる(5)跳ぶ―の基本動作が一連の流れの中に全て網羅されており、終えた後は身が軽く感じる。スポーツを終えた後の爽快感とはまた違うスッキリ感があるのだ。準備運動や整理運動にも用いられるチームが多いというのもうなずける。

 体力維持のためアスリートの動画を見ながらというのもいいが、私は長寿番組となったラジオ体操が一番ではないかと思っている。興味がある人はぜひ「ラジオ体操」で検索していただきたい。放送予定日が載っている。(格闘技評論家=第1回オープントーナメント全日本空手道選手権王者)