IH、全中が史上初の中止「この期間を自分の成長に」橋岡優輝、土井杏南、北口榛花からの言葉

引用元:月刊陸上競技
IH、全中が史上初の中止「この期間を自分の成長に」橋岡優輝、土井杏南、北口榛花からの言葉

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、当たり前だった部活動が休止。試合も軒並み中止・延期となっている。特に中学生、高校生の目標となっている全中、インターハイの中止は大きな影を落とした。もちろん、全国大会だけではなく、都道府県レベルの大会も開催できておらず、これまで積んできた努力の成果を見せられぬまま、選手たちによっては引退を選択してしまうという状況も生まれてしまっている。

 そんな中で、何人かのトップアスリートに電話取材する機会があり、「中高生へのメッセージをもらえないか」と投げかけた。今回は、男子走幅跳の橋岡優輝選手(日大)、女子短距離の土井杏南選手、女子やり投の北口榛花選手(ともにJAL)の3選手の言葉を届けたい。

 元々はこうしたメッセージをもらうためのインタビューではなかったが、それでも、中高生を取り巻く状況を踏まえて協力してくれた。彼らは慎重に、一つひとつ考えながら言葉を絞り出した。

橋岡「自分の成長に時間を使うことも大事」
●男子走幅跳
橋岡優輝(日大)
19年ドーハ世界選手権8位
中学・高校時代
13年全中四種競技3位
  ジュニア五輪走高跳9位
15年インターハイ走幅跳4位、110mH出場
16年インターハイ走幅跳優勝、4×100mR5位

―現在、新型コロナウイルスの影響で部活動を取り巻く環境は難しくなっています。
橋岡 試合という目標がなくなったり、延期になったり、日程が決まらないと、どうしても難しい部分はあります。試合がいつ再開するかどうか、早く決まってほしいという部分はあるかと思います。

―こういう状況下でもジュニア年代に大切にしてほしいことはありますか。
橋岡 やっぱり基礎がすごく大事だと思います。僕は高校3年間で下地を作った大事な時間だったと思っています。特に接地の感覚を大切にしています。中学時代は「部活動の中の1人」という感じでした。それが高校では頭で考え、神経を使うことを学びました。3年間かけて「陸上競技者」になれたと思っています。

―モチベーション維持など、難しい部分があります。
橋岡 こういう期間は、基礎を作り直す、新しい感覚を得る、そういうためにすごく良い時間だと捉えます。「試合がないから練習も適当でいいや」となるのではなく、1日1つでもいいので何か目標を作って、それに向けてトレーニングをしてほしいです。やっぱり陸上の練習だけだと心身ともに疲れてしまうと思います。今はSNSでいろいろな競技のアスリートがトレーニングを載せています。それを試してみるとか、普段使わない部位を動かしてみるとか。それが陸上につながるかもしれません。

―ジュニア年代にメッセージをお願いします。
橋岡 中高生のみなさんの中には、この事態を受けて陸上を1回あきらめないといけない人もいると思います。もちろんスポーツでは試合で結果を残すというのも大事なことです。でも、それと同じくらい自分の成長に時間を使うことも大切だと思います。こんな機会だからこそ、基礎を作り直す時間など、成長につなげてほしいです。
 そして、この事態が収束して、試合が再開した時に、自分が良い状態で臨み、良い結果を出せるようなコンディションを常にイメージして取り組んでみてください。僕らもSNSなどを通じて、みなさんがモチベーションを保つための力になれるようにしていきたいと思っています。一致団結して乗り越えていきましょう。