2強の「ナガマツ」と「フクヒロ」。 東京五輪決勝で対戦もあり得る

2強の「ナガマツ」と「フクヒロ」。 東京五輪決勝で対戦もあり得る

バドミントン女子ダブルスは、日本の2組が熱くしている。第73回全日本総合バドミントン選手権大会は、12月1日に各種目の決勝を行ない、女子ダブルスは、永原和可那/松本麻佑(北都銀行)が2-1(10-21、21-15、21-8)の逆転で福島由紀/廣田彩花(アメリカンベイプ岐阜)を破り、初優勝を飾った。

【写真】強い日本にうれしい悲鳴。バド女子ダブルスの五輪出場枠争いが熾烈だ

 松本は、コート上のインタビューで思わず涙。永原は「自分たちは、初めての(全日本総合の)決勝戦。少し浮足立った。相手は、3度目の決勝。差が出て押されてしまったが、多くの方が足を運んで下さったなか、このまま終わるのは悔しかった。2ゲーム目から、自分たちの力を出し切ることに集中して、開き直れたのが勝ちにつながった」と国内のファンに底力を見せつけた一戦を振り返った。

 この2組は現在、女子ダブルス界をけん引している。世界選手権では、2年連続で決勝を戦い、永原/松本原が2連覇。福島/廣田も3年連続の準優勝と好成績を残している。この2組が、東京の駒沢体育館に集った2693人の観衆の前で激闘を繰り広げた。

 第1ゲームは、福島/廣田が圧倒。廣田は「相手の動きに硬さがあり、やりたいようにできた」と手応えを語った。「フクヒロ」の愛称で知られる福島/廣田は、スピードとレシーブ力が武器で、速いテンポのラリーを展開。打ち込まれても素早く返すカウンターを放ち、相手を振り回した。

 第2ゲームも中盤は8-11と競っていたが、今度はともに身長170cmを超える長身ペアの永原/松本(「ナガマツ」の愛称)が主導権を奪った。2人の特徴は、何と言っても打点の高さを生かした攻撃力。相手の球が少しでも高くなれば、容赦なく上から叩きまくるラリーに持ち込んで押し切った。 対峙した福島は「相手のスマッシュも後半になるにつれて、速いと感じるようになったというか、スピードが上がってきたし(こちらが打っても)レシーブでも絶対に決まらなかった。その中で自分たちがどうするか考えているうちにミスをして、迷いが出た」と流れを奪われたことを認めた。互いの良さを出し合う試合だった。

 この2組は、今後も要注目だ。バドミントンの東京五輪出場権争いは、来年4月末まで続く。世界ランク8位以内に2組が入れば、最大2組まで同じ国から出場できる。世界ランク(以下、すべて11月26日付け)では福島/廣田が2位、永原/松本が3位。

 2016年リオデジャネイロ五輪の金メダリスト高橋礼華/松友美佐紀(日本ユニシス)も世界ランク4位と健在で、現状では3組が8位以上の条件を満たすのだが、高橋/松友は、今秋の国際大会の成績が振るわず、日本勢同士の順位争いで苦境に立たされている(現状の五輪レースポイントは、福島/廣田が85602点、永原/松本が78693点、高橋/松友が71772点)。

 そして12月には、永原/松本と福島/廣田の2組がさらに抜け出す可能性が高い。年間成績上位8組が出場するBWFワールドツアーファイナルズ(以下、ファイナルズ=11日開幕、中国・広州)は、世界選手権に次いでランキングポイントの高い大会で、最低でもベスト8相当のポイントが上積みできる。この大会も同国最大2枠で、成績上位の永原/松本と福島/廣田が出場するのだ。

 五輪レース全体で見ると、現在の世界ランクが示すように福島/廣田が上。しかし、2度の世界選手権や今回の全日本総合選手権のように、大一番でより力を発揮するのが永原/松本だ。

 国際大会に限っても3連敗中の福島は「今日の2ゲーム目の途中までは、良いイメージ。相手がやってくることを考えながら良い球出しができた。いつか借りを返せるように頑張りたい」と雪辱を誓った。ファイナルズでも2組が決勝で対戦する可能性があるが、国外に目を向けると気になる兆候も見られる。